こんにちは、北の快適工房代表の木下勝寿です。
全国的には、まだまだ気温の高い日が続いているかと思いますが、
北海道では9月になると、葉の端
がうっすら色づきはじめる木々もちらほら。
そんな彩りに秋の訪れを感じる、今日この頃です。
さて、先月はお盆でしたね。
故郷に帰省された方も多いのではないでしょうか。
今回は私がスタッフから聞いた話の中から、
ある女性スタッフのお盆のエピソードを紹介させてください。
彼女は家族と、祖父母の暮らす北海道のやや北側に位置する
士別
(しべつ)市を訪れました。
士別市はめん羊の1種である
「サフォーク」の牧畜が盛んで、
街の中心部から15分ほど車を走らせると、
ほのぼのとした牧歌的な風景が広がっています。
(↑赤い星印が士別市、白い星印が釧路市です。)
(↑草を夢中に食べている様子がなんともかわいらしいですね。) そして、彼女には訪れるたびに楽しみにしている、ある食べ物があります。
それは彼女のおばあちゃんが作る
「ザンギ」です。
ザンギとは、味付けをした鶏肉に衣を付けて揚げたもの。
北海道の東側にある釧路市が発祥といわれている料理です。
鶏の唐揚げというと分かりやすいかもしれませんが、
北海道の中では、全く別の料理!という方もいれば、
同じもの!という方もいます。
明確な違いを説明するのは難しいのですが、
とにかく、ザンギは
北海道民にとって家庭料理の代表であり、
居酒屋や回転寿司でも必ずといってよいほどの定番メニュー。子供から大人まで広く愛されている料理なのです。
さて、彼女がおじいちゃん、おばあちゃんのお家に着くと、
「鶏肉は買ってあるからね」と、既に準備万端。
何もいわずとも、彼女が食べたがるものはお見通しだったようです。
彼女が幼かった頃は「油でやけどをするかもしれないから」と、
おばあちゃんがザンギを作っている様子を
横から覗いているばかりでしたが、
成長するにつれ、揚げるところまで手伝うようになったとのこと。
おばあちゃんの作るザンギが美味しい一番の“秘訣”は、なんといっても
「下味」。
鶏肉をたっぷりのニンニクやショウガ、醤油、
そして衣に必要な片栗粉も一緒に混ぜ込み、
一晩かけて寝かせるんだそうです。
確かに、これはおいしいザンギができあがりそう。
味が染み込むまでは、
今すぐ揚げて食べてしまいたい気持ちを抑えて、ガマンです。
漬け込むこと1日、彼女もおばあちゃんと一緒に揚げていきます。
火加減や揚げる時間に絶妙な調整が必要ですが、
そこは、おばあちゃんの
熟年の勘が光ります。
彼女もコツを教わりながら、
「ジュッ」とリズムよく揚げていき、
いよいよお待ちかねのザンギが完成!
(↑こんがり揚がって美味しそう!)噛んだ瞬間に良い香りが鼻を抜け、肉汁が溢れます。
おばあちゃんの長年の経験が詰まった美味しさに、
自然と顔がほころんでしまったのだそうです。
そんな彼女ですが、子供の頃は1年の間に何度も帰省できていたものの、
ここ数年はなかなか都合が合わず、頻度が減ってしまっていたそうです。
だからこそ今年、おばあちゃんと
「最近こんなことがあってね」、「昔はこんなことがあったね」と、話を弾ませながらザンギを作り、
家族みんなと食卓を囲んだことが、心温まる、大好きな時間だったのだとか。
きっと、彼女がザンギを好きな理由は、ザンギそのものはもちろんのこと、
それを囲む
家族との楽しい時間もあるからなのだと、私は思いました。
この話を聞き、私も子供の頃の食卓の風景や、母が台所に立っている後ろ姿、
そして、家族と交わした何気ない会話の数々を思い出し、
ふと、
おふくろの味が恋しくなってしまいました。
私も来年のお盆は実家に顔を出し、懐かしい母の味と共に、
昔話に花を咲かせられたらと思っています。
そして私たち北の快適工房も、お客様の
「家族」のように、
これからも皆様に寄り添い続ける存在でありたいと思います。
したっけ(北海道では「それじゃあ」のことを「したっけ」といいます。)、
来月もお手紙を書かせていただきますね。
北の快適工房代表 木下勝寿