2018年5月 by 北の快適工房 こんにちは、北の快適工房代表の木下勝寿です。穏やかな春のあたたかさから、初夏の気配を感じられるようになってきた地域も多いのではないでしょうか。ただ、5月に入るとそろそろ梅雨の心配をしている方もいらっしゃるかもしれませんね。さて、この時期はようやく桜前線も北海道まで北上し、各地にある桜の名所は賑わいを見せています。そして、この時期見頃を迎える「桜」がもう一つあります。それが「芝桜」です。芝桜は元々北アメリカ西部原産の多年草で、芝のように広がり桜と似た花が咲きます。桜ほど数は多くありませんが、芝桜の名所は全国にあります。しかし、北海道の芝桜はさすが北海道!というほどその規模も大きく、見ごたえがあって壮観です。そんな北海道の代表的な芝桜の名所の一つが「ひがしもこと芝桜公園」。このひがしもこと芝桜公園は、札幌市から東北東へ約250キロメートルに位置する大空町にあります。(大空町は2006年に女満別町と東藻琴村が合併して誕生した町です。)この公園は、約10万平方メートル(東京ドーム約2個分)もの敷地があり、満開の時期にはその広大な丘陵一面に芝桜が咲き誇ります。まるで絨毯のように芝桜が広がる光景は圧巻です。今でこそ広大な公園も元々は観光目的でつくられたのではなく、終戦直後に一人の男性が植えた一株から始まったそうです。その男性とは、当時畑作農家だった中鉢末吉さん。亡きお姉さんがもらってきた一株の芝桜を自宅に植え、少しずつ増やし、小さな芝桜公園をつくったことがこの公園のはじまりです。そして、その見事な出来栄えに、仕事として公園をつくることを頼まれます。しかし場所は小高い丘の一面。急斜面のために機械を使うことができず、それでも手作業で一人、気の遠くなる作業を続けたそうです。土を耕し、雑草を抜き、苗を一つずつ植える……それを何ヵ月、何年と繰り返した結果、一面がピンク色に染まる公園が完成したのです。さらに、中鉢さんが引退したあとも、誰もが楽しめる公園づくりを目指し、現在は高齢者や障がい者の方にも配慮された公園として整備がされました。芝桜のほかにも、キャンプ場や温泉、釣堀まであり、大人から子供まで一日ゆっくり楽しめる町の大切な観光スポットとなっています。また、園内にあるキャンプ場や温泉は夏の終わり頃まで利用することができますが、ちょうど芝桜の見頃を迎える今の時期は、約1ヵ月間「芝桜まつり」と称してイベントなども開催されています。第35回目となる今年も5月3日から開催され、一面に広がる芝桜を楽しむことができます。今では丘いっぱいに芝桜が広がっています。そんな広い土地を有する公園ですが、その7割は中鉢さんが植え付けをしたものなのだそう。その広さを見ただけでも音を上げてしまいそうですが、見事に咲き誇る芝桜には思わずため息が出てしまいます。そして2009年に亡くなった中鉢さんは、愛着のある公園を訪れる人を見て「たくさんの人に喜んでもらえるのがうれしい」と22年間に渡って公園の管理を続けたそうです。芝桜や公園に対する愛情ももちろんですが、中鉢さんをはじめ多くの方が「誰かに喜んでほしい」と積み重ねた結果が、今のひがしもこと芝桜公園なんですね。 私たち北の快適工房も、日々お客様のお悩みを解消するため、商品づくりを行っていますが、開発からお客様の手元に届くまでは何年もかかります。しかし、たとえ何年かかったとしても、商品開発の手を休めず続けているのは、中鉢さんがそうだったように、私たちも「お客様に喜んでもらいたい!」という気持ちがあるからです。今まではもちろん、これからも私たちのつくった商品が少しでもお客様にお役立ていただけるように精進していきたいと思います。したっけ( 北海道では「それじゃあ」のことを「したっけ」といいます。)、来月もお手紙を書かせていただきますね。北の快適工房代表 木下勝寿